定年まで2年残して退職しよう!


 これまで、『退職と生活設計の手引き』と『退職と暮し方の手引き』で、主には定年後の生活
設計や暮し方をどう考えていくかを記述してきました。
 HPでこういった内容を見たといって私宛に、自分なりの悩みや考え方などをメールで送って
きてくれた方はみな、定年前に退職してリタイアするか転職することを、検討あるいは実行した
方々でした。

 そんな折、平成16年11月8日に小学館から『シニア・ポスト』というムックが発行され、私も
その中の一部に登場したこともあって、この本の紹介をしたり、反応を見たりしていましたが、
やはり本の内容に反応するのは『定年前に退職したか、または検討している』人が多いという
ことを実感しました。
 要は、こんな本に興味を持たないという人のほとんどは、『定年まで働くことを決めている』人
だっていうことです。

 思うに、世の中で、定年まで会社にいようと考えている人のほとんどは、退職後のことをその
時まで(もしくはその時になっても)考えようとしないということなんですね。
 だから、今回の『シニア・ポスト』だって、眺める人はいても、真面目に読む人はほとんどいな
いんだと思います。
 読まないというより、読めないんですね。
 退職後どうしようとか考える意識がない(または考えたくない)から。
 
 定年退職というのは60歳での『定期異動』みたいな意識なんです。
 ただ引かれた線路の通過点なんです。
 だから、考える必要もないという意識が生まれる。
 
 一方で例えば58歳で会社を辞めようとする人は、必要以上に過度に将来を考えたり悩んだ
りする。
 たった2年しか違わないのに。
 60歳からの残り年数から比べたらゴミみたいなもんなんですけどね。

 それは、厚生年金が60歳からもらえるとして、それまでの2年間が無収入ならどう暮らすか、
その2年間で蓄積するはずだった貯蓄が無かったらどうなるのか、はたまたその間の支出は
どれくらいになるのか等を考えるからだと思います。
 そしてその2年間のことを考えていると、その先のことも心配になってしまう。
 結果、延々死ぬまでのことを心配したり悩んだりする。
 そういうメールをくれるHP読者がけっこういます。

 結論的に言えば、その2年間のことについては、それほど悩むような重大なことではないんで
すけどね。
 それとその2年間と60歳以降のことはきちんと分けて考える必要もあるんです。
 いっしょくたに悩んでしまうとゴチャゴチャになってしまう。

 相談してくれた人たちには
 「いい機会だから75歳までの(家計簿を作って)生活設計をしてみなさい。」
 と言います。
 どういう暮し方をするかを決めなきゃ支出予算も立たないですからね。
 そうすると一生懸命年金の計算をしたり、支出のシミュレーションをしたりして、将来を見定め
ようとします。
 でもこれが大事なことなんだと思います。

 本来は2年間のことはむしろどうでもよくて、60歳からの長い生活についてじっくり考え、悩
み、検討しておくことが重要なんだと思います。
 定年退職者は60歳以後のことを考えないけど、58歳退職者は考えるという妙な効果が出て
きます。
 これは定年退職する人だって同じように考えておかないといけないことなんですが。

 そういうこともあって、これからは誰に対しても

 『定年まで2年残して退職しよう!』

 という提案をしていこうかと思い始めたところです。
 その方が良く将来を考えるから。
 例え辞めなくたって、辞める気になって考えてみるのは、すごく良いことだと思うし。

 でも、考えるといっても、本当に良く考えなくてはいけないのは、単に
 「暮らしていけるかどうか。」
 ではないんです。
 ただ暮らしていくだけなら、そこそこの会社にいた人たちだったら、どんなにしても暮らしてい
けます。
 「どう暮らしていくか。」
 を考えないといけないのです。
 「健康で体力があるうちに金と時間を使って残りの人生をどうエンジョイするか。」
 を考えることが重要なのです。

 そんなこと考えるの面倒くさいと思えば、ほっておいてもそれなりに暮らしていけるのです。
 それなりに暮らしていけるからこそ、定年を迎えても考えようとしないんだと言うこともできま
すが。

 「悔いを残さない、より充実した人生。」
 をおくるための 『余生の設計』 をきちんと納得するまでやるかどうかですよ。




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